日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

豪州のビザについて - 客観的考察

私はよく豪州に滞在中の人などのブログを読んでいるが、その中で最近ちょっときになる事がある。それはワーホリ後などに豪州滞在の延長のためにビザ取り学校(週に1-2日のみの通学で後は課題提出で卒業できる)などに行く事を勧めるものだ。これまで何年もビザで苦労してきた私には本当にその選択肢が良いのかという疑問が残る。

 

一般的に日本人は観光で豪州に入国するのはETASという入国許可さえ取れば非常に簡単である。続いてビザの条件を満たしていればワーホリも学生ビザもほぼ問題なく取ることができる。ただそれ以外のビザになると急に取得が難しくなる。ビジネスビザや永住権などは超なければいけないハードルは年々高まっていて誰でも申請すれば通るものではない。私が懸念するのは、日本人が豪州のビザと入国をあまりに簡単に考えている傾向にある点である。

 

冒頭に挙げたビザ取り学校などは不正ではないけれど学生ビザの制度の網をかいくぐったようなものである。本来学生ビザは学業のために豪州での滞在許可を与えているのであって、週に1-2日学校に行ってあとは自由に働けるというのは本来の趣旨とは大きくかけ離れている。最近豪州側もこのビザ学校を規制する方向に転換してきているが、特にワーホリビザが切れる人たちに対して、今ならまだ間に合うとか格安で学校に通えるなどといった触れ込みで申し込みを促す宣伝をする留学斡旋業者は多い。もちろん彼らが違法行為をしている訳ではないのでこれらの広告には問題はないし偽りではない。

 

日本人の場合学生ビザは比較的簡単に降りるのでワーホリからビザ取り学校などを利用して学生ビザに切り替えて豪州に何年も滞在し続ける人も中にはいる。数ヶ月から一年程度学生ビザで滞在を延長してそのあとは帰国する(もしくは豪州以外に行く)という人には問題ないだろうが、もしその後に豪州でビジネスビザや永住権を考えているならこういったビザの経歴はマイナスに働く可能性が高い。学生ビザを何年も延長し続けるとNo further stayという条件がつく事があり、そうなると学生ビザの延長は出来なくなるばかりでなく、もし一旦国外に出て別のビザを申請するにしても審査がとても厳しくなるだろう。

 

例えば永住権の申請時には過去の豪州でのビザの履歴や学歴、職歴など全て書かなければいけない。学生ビザの延長であっても語学学校から専門学校や大学、さらに大学院などの流れであれば良いのだが、語学学校からツーリズムコース、ホスピタリティーコース、ビジネスイングリッシュコース、ビジネスコースなどcertificateやdiplomaのコースを渡り歩くような延長なら審査の際に不審に思われる可能性は十分ある。あまり知られていないかもしれないが、学生ビザにも数種類あって語学学校、専門学校、大学/大学院とそれぞれビザのサブクラスが違う。だから語学学校のサブクラスを何度も延長していたらすぐにわかる。確かに正当なビザで豪州に滞在していたのは事実だしそれだけをを理由に別のビザの申請が却下される事もないとは思うが、移民局への印象が悪くなるのは確かである。

 

またワーホリを終えてまた豪州に戻ってきたいから一旦日本に戻って再び観光で入国するというような計画を立てる人もいるようだが、それも危険である。確かに制度的には可能なのだが、ワーホリビザが切れたすぐ後に観光で入国をしようと思うと(不法滞在の意図を疑われて)入国拒否されるケースがあると聞く。もしそこで入国出来たとしても、万が一元いた職場などで内緒で働くなどしてしまえば一気に違法になりこれが見つかれば豪州の入国は何年間か出来なくなる。そう言うことをよく考えずに軽はずみに行動してしまうと後に大きなリスクを背負うことになるのだ。

 

学生ビザやワーホリからビジネスビザや永住権を考える人も多いだろう。もしくはどんな手段を使っても豪州に残りたいと奮闘する人もいるかもしれない。それは個人の選択なのでどんな考えであっても良いのだが、その時に簡単だからとかとりあえず延長出来るからと安易にビザ取り学校などに飛びつくのは要注意だと私は思う。もっとも私はビザの専門家ではないので詳しい事はわからないし間違った認識もあるかもしれないが、こういう状況に少し危機感を覚える。