日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

豪州人との関わり方と人種差別

豪州は移民の国と呼ばれるほど世界中からの移民が集まっている国。先住民族(アボリジニ)、白人系以外の移民が急激に増えている近年、街を歩けばここは本当に豪州かなと疑うほど他国からの移民が多い地域も存在する。例えば中国系の人が多い場所では中国系の店が立ち並び店の看板も聞こえてくるのも中国語、一瞬自分がどこの国にいるのかわからなくなってしまいそうである。一方で郊外や田舎に行くと移民がほとんどいない地域もある。

 

そんな豪州においても人種差別は少なからずある事は認めなければならない。ワーホリや留学生でも酷い差別を経験すしたという人もいれば全く差別とは無縁で豪州人に囲まれて楽しく生活をしてきたという人もいる。表面上は人種差別はタブーとされているが、中には過去の白豪主義がそのまま残っていて外国人に対して差別意識を持つ人たちもいるのもまた事実である。特に移民とは一切個人的な付き合いを持ちたくないという人も少なからず居て、そう言った人に出会ってしまったら明らかに冷たい態度を取られたり時には見下した対応をされる。ただしそこまで強硬な人はほんの一握りで全体的な傾向とは言えない。

 

豪州人には差別まで行かなくても移民をよく思わない人も多い。豪州が外国から押し寄せる移民によって乗っ取られてしまうという懸念を持っているからだ。現にビジネスの世界では豪州の地元企業は海外企業の進出などで苦戦を強いられている経緯もあり、移民に対して危機感を持つ人は少なくなかった。また豪州の文化が外国から来た文化や価値観に押しやられていると感じている人もいる。もっとも白人系の豪州人と先住民族の間にも歴史的に似たような問題があるので一概には言えないだろうが、こういった移民排除の動きは移民局のビザの発給にも大きく影響している。

 

豪州での日常生活において日本人が人種差別を受けるかという点については、あり得るという回答が一番近い気がする。もっとも日本人というよりアジア人としてである。豪州人の中には特定のアジアの人種を嫌う傾向の人たちもいて、容姿の似たアジア人は全員その特定の人種だと思われる事もしばしばある。私は実際に会ったことはないが、日本人差別としてよく聞くのが生卵を投げつけられるというものだ。豪州の若者たちの間では日本人に卵をぶつけると幸運になるとかいう都市伝説のような話が広がっているらしい。あとは毎年4月にある戦争の記念日に日本人が外を歩くと石を投げられるので外出は避けるべきというのがよく日本人の間で言われていた。戦争の歴史の中で日本が豪州を攻撃した事実があり、そのために反日感情を持つという人も少数だが存在するからだ。ただ特に近年ではそう言った風潮は薄れてきている。

 

私は外国人だからという見えない差別は受けた事があるが、特に日本人だから嫌な思いをするという事はなかった。むしろ最初はアジア人として軽蔑した対応をされても、日本人だと分かると急に日本語を習った事があるとか、友達が日本に旅行に行ったなどと友好的に話しかけてくるという事が多かった。最後まで日本人だとわからない場合でもこちらが笑顔で普通に対応し続ければ、相手の態度も次第に柔和してくる。大切なのは英語が上手く話せるかどうかは別にして、豪州人の相手にも臆する事なく、相手を尊敬しているという態度を見せつつ対等な立場で取り合う事だと思う。

 

私がこれまで感じたのは、白人系の豪州人は自分たちの仲間意識(メイトシップ)が強いという事。そしてその仲間とは助け合うがそれ以外の人たちはあまり興味がない。だからこちらから相手に興味を持って話しかけて仲間に入ろうとしない限り、向こうから来る事はほとんどない。その代わり一度自分たちの仲間と認められれば差別どころか向こうから話しかけてきたり、ご飯に誘われたりする。そうなると相手もこちら側に興味を持ってくれるようになり良い友人関係を築ける。

 

豪州で人種差別に合うかどうかは正直運もあるかもしれない。でも一方的なものはともかく、差別的な態度を取られたと感じても、意外とこちらの対応次第で相手が変わる事が多いと私は感じてきた。この事から私は現代の豪州での人種差別の根はそこまで深くなく、こちらが豪州人の相手を理解し尊重ている事をきちんと示せば軽蔑や差別的な態度は薄らいでいく。豪州に来る時には是非英語も含めてこの国の文化や価値観を知ってから来て欲しいと思う。