日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

豪州英語の訛り

私の知り合いでご主人が豪州人で奥さんアメリカ人という夫妻がいる。当然主人は豪州英語で奥さんアメリカアクセントの強い英語を話す。子供たちは全員豪州英語で、家族の会話を聞いていると面白い。例えば食卓で奥さんはTomatoをトメィトとアメリカ式に発音するのに対して他の家族はトマァトという。これでも違和感なく会話が成り立っているをいつも不思議に思っている。

 

一般的にも知られている通り同じ英語圏でもその国によってアクセントや発音が違う。もちろん同じ国の中でも地域や州によってかなり違うこともある。例えばアメリカでは西と東海岸地方の英語は違うし、南部に行けばまた違う。当然イギリスでも地域によって同じような違いがあり、豪州にもその傾向はある。一般的に日本人には豪州英語は訛りが強いからと敬遠する人も少なくない。通常は小学校から高校で教えられるのはアメリカ英語なので豪州英語になじみが薄いのは当然で、アメリカ式の発音やアクセント以外を訛っていると思ってしまうのも無理はないかもしれない。一部ではイギリス英語が一番正しくて綺麗でそれ以外は全て否定する人もいる。その辺りについては私は個人的主観と好みで良いと思っている。

 

豪州英語についてだが、確かに豪州独特の発音や言い回しが存在する。例えば先日私がThanks heaps.とメッセージしたらアメリカ人の友人はそれはThanks a lot.と言う意味かと確認してきた事があった。その時私はこのheapsという表現が豪州独特の言い回しである事を知った。(イギリスやニュージーランドで使われているかはわからない。) でもこういった細かい表現の違いが障害になってアメリカ人と豪州人がコミュニケーションを取れないかと言われるとそういう事はほぼない。現にアメリカ人の友人も変な表現と思っただろけど正しい意味を推測していた。すなわち豪州英語が特に異質で世界で通じない英語ではないという事だ。

 

よく語学留学先を選ぶ際に豪州は訛りがあるからという理由のみで候補から外す人がいる。確かに30年前ならそうだったのかも知れないが、近年では豪州人でもそこまで訛りの(アクセントの)強い英語を話す人は少なくなってきている。特に都市部では、豪州のアクセントというよりどちらかというと豪州とアメリカ英語の発音の中間のような感じの人が多い気がする。田舎の方に行くと豪州人のネイティブでも聴き取りずらいと感じる典型的な豪州アクセントの英語を話す人もいるようだが、普通留学生が行くような都市ではまずない。ちなみに、豪州に一年程度留学したからといって豪州訛りの英語を話すようになるかと言うとそういう例はとても少ないと思う。日本人は特に日本語英語の訛りが強いのでどうしても優ってしまう。私も豪州に何年もいてほぼネイティブと一緒に生活しているが私の英語は今でも日本の訛りがある。

 

豪州に語学留学やワーホリでやってくる人の中には豪州訛りとおかしな表現でいつまでもネイティブの英語が聴き取れないという人も少なくない。特に英語の初心者には多いかもしれない。もちろん豪州とアメリカの英語が違うことは否定しないし初めて聞いたら聴きにくいのは当然だ。それでももし(一対一での)豪州人との会話の半分も聴き取れないとしたらそれは残念ながら豪州訛りのせいではなくて基礎的な英語力の問題だと私は考える。ずっとアメリカ英語に触れてきた私は豪州に初めて来た当初始めの1週間くらいはかなり集中しないとネイティブの話は聴き取りにくかったが、全てわからないという事はなく、そのうち気にならなくなっていった。アメリカ英語にない単語や表現も大抵の場合は文脈から推測する事は可能だったし、アメリカ英語と比較しながら一つづつ覚えていった。さらに私は普段アメリカ英語を聞く機会は少ないが、豪州に長くいたからといってアメリカ英語が聴き取れなくなったという事もない。一瞬違和感はあっても豪州英語と同じように聴ける。もしアメリカ人の話す英語で全く理解できない事があったとしたら、もし豪州人が同じ事を話したとしても私には理解出来ないと思う。

 

豪州英語イコール強い訛りと変わった表現で通じない英語というのは間違っている。確かにアメリカ英語ともイギリス英語とも違うけど、それが汚いとかそういう考え方はどうかと思う。時々ネットで豪州は訛りが強いから留学するなら豪州は辞めた方が良いという類のアドバイスを見かける。確かに豪州英語が自分の好みに合わなければ他の国に行くべきだと思う。ただ最初から豪州英語の訛りという偏見が独り歩きしてそれが固定観念化してしまうのは残念である。

 

 

IT職の求人

先日私の見て来た解雇について書いたが、実は今は求人で苦労している。私の働く会社は小さい町工場だが、IT関連はほぼ自社で管理していてちょうど人を探している。今募集が出ているのは私と同じポジションで将来はマネージャー候補になる人だ。私はまだ解雇されるわけではないが、ビザの問題やその他の諸事情で今後会社に残る人材かわからないので、出来れば早めに人を雇って引き継ぎをしておきたいところが本音である。しかしこの採用がかなり難航している。

 

実はこのポジションで求人は出るのは今回が初めてではない。現に過去に一人採用したが、一年ほどでプログラマーとしての仕事が出来ていないため他部署に回されてその後自己退職した。その後一度求人を出したが書類の段階でコレという人材が見つからず、誰も面接する事はなかった。今回は二度目。応募自体は数十件あったが実際に面接をした人は三人、その中で一人は辞退したが、残りの人たちは不採用に終わった。求める事はそう多くはないし、無能外国人労働者の私でも務まるポジションなのに何故適任者が現れないのか考えてみた。

 

IT業界で働く人で、成功したいと思う人はそもそも町工場の社内ITのポジションに興味はないだろう。それは仕事内容、将来性、給料面どれをとっても魅力に欠けるからだ。私は小さい会社にはそれなりの良さがあると思うが、プログラマーで雇われるのに、その他のIT関連の雑用もこなしてくれと言われたら優秀なプログラマーほど引くだろうと思う。しかも給料が安い割にはやる事の多い仕事なのでそれでも働きたいと思う人は少ない。さらに会社はある程度フレキシブルに働ける人を探していてそこもネックになっている。

 

採用の過程には私はあまり関わっていないが、最初の面接の時は呼ばれるので、送られて来た履歴書や人事課とのメールのやり取りなんかを見る事がある。私がそこで一番驚いたのがメールの文章だった。殆どの候補者のメールは自分の都合だけが一方的に書かれていて、言葉遣いも友達に話すようにカジュアル。日本人の私からするとその時点で常識がないと判断してしまうような感じで、礼節なんて微塵も感じられない。もちろん私は採用には関係ないし、ここは豪州なのだから文化も違うのだろうとやり過ごしたが、とてもカルチャーショックを覚えた。ただ一人だけ人事課がとても礼儀正しく謙虚な人だと言っていた人のメールは違った。同じような内容の事を伝えるにも、会社側の都合を気遣い誠意のある文書だった。もちろんこの候補者は良い印象を残したのは言うまでもない。

 

このITポジションの採用は長期戦になりそうだが、とにかく早期に適任者が現れてくれる事を願うばかりだ。日本からもIT関連の仕事で豪州に来ている人は多いし、その中でも求職中という人もいるはずである。その中のたった一人でも来てくれたら、ついそう思ってしまうのは妄想だろうか?

 

私の見てきた解雇

私の職場では財政状況が悪化し過去に二度ほど大きな人事整理があった。一度目の時は何の前触れもなく主に工場スタッフのリストラが行われた。その時はリストラ対象者だけが一人づつ会議室に呼ばれていて、私は自分のオフィスから次は自分が呼ばれるかと不安になりながら遠巻きにその様子を見ていた。会議室から緊張した面もちのMDがティッシュがあるかとオフィス内を歩いていたのが印象的だった。特に女性は大泣きの人が多かったのだろう。私は地獄絵図と言う言葉を何度も頭の中で繰り返した。


二度目の時は事前に社員全員に人事整理が行われることとその理由が告知された。この時はまず希望退職者を募って足りない分を強制解雇にするという話だった。その告知後社内では様々な噂が流れ重苦しい雰囲気が漂う。当然無能外国人労働者である私は解雇対象の可能性が高く、私は自己退職しようと考えていた。豪州での生活を引き払い日本に帰国しようと思うと当時の上司と話し合っていた。実はその上司と私のどちらかが解雇になるのはお互いわかっていたので、私が辞めなければその上司が退職することになるのは明白。私は決意を固めて会社に自主退職の旨を伝えようとしていた。ところがその前にMDが私のところに来て私は対象者ではないので手を挙げてはいけないと言われる。つまり会社側は既に退職者リストを作成していて、もしそれ以外の人が自主退職を申し出た場合は最初から留意するつもりだったのだ。


その時に私の上司が解雇対象者であると聞かされた。しかもたとえ私が自己退職したとしても、その上司の解雇は免れないので無駄な抵抗はするなと言う。当然絶本人を含めて人事発表まで絶対に誰にも言ってはいけないと釘を刺さされたので私は数週間、解雇対象である上司と顔を合わせる度に心が痛んだ。誰も知らない極秘事項を知ってしまった重さと、上司への申し訳なさと、上司を失う事への恐怖が頭の中を駆け巡った。


その時の発表は解雇対象に関わらず全員一人づつ会議室に呼ばれた。全員の面談が終わると誰が解雇になったかという話がさっと広まった。興奮している人や泣いている人が多く職場は混沌としていた。解雇になった上司は平然を装って話していたが、まさかという思いは見て取れた。外人の私が解雇されず現地人の上司がリストラになったのは非常に大きな噂になり会社に異議申し立てをする人たちも現れた。私が辞めてもその上司の解雇は免れられなかった事を知らないとは言え、その後長い事会社の内外から批判を浴び続けたのだ。

 

その二度の人員削減以外は基本的に解雇になるというケースは余程のことがない限りなかったのだが、最近会社の経営方針が変わり成果の上げられないスタッフは躊躇なく解雇するようになっている。採用の過程でも数週間から数ヶ月の試用期間を設けてその中で会社に貢献出来る人材であると判断されなければその場で雇用を打ち切るようだ。数ヶ月前から働き始めた女性はこのまま雇用していても十分な成果が見込めないとみなされ先日突然解雇を言い渡されていた。この女性は私の知り合いだったので衝撃は大きかった。私は解雇の数日前に何かの話の中でMDからその話を極秘に聞いていた。そこから数日、そんな事態を想像する事もなく普通に働く彼女をいたたまれない気持ちで見ていた。ついにその旨が彼女に伝えられた日、私は偶然トイレで泣いている本人に出くわした。何も知らないフリをしてどうしたのかと聞きながら暫く泣きじゃくる彼女を慰めた。その日付で雇用が終了した彼女は多くの人と挨拶も交わす事もなく静かに職場を離れたのだ。

 


これ以外にも自主退職を促すようなケースがあった。上層部のマネージャーで私はこの時も本人からその事を聞く前に上司から絶対に公言するなと言われて聞かされていた。この場合は本人も辞意の可能性を示唆した経緯もあり円満に雇用が終了したのが救いだった。会社側は辞意の話が出た時に引き留める事もなくむしろ次のキャリアに向かうべきだと背中を押して自主退職に持って行ったのだ。本人も本当の理由は知らないまま会社を去って行った。もちろんその真意は知らないままの方が良かったと思う。

 


こうして色々書いてみると次は我が身かと思う。そもそも私は次のビザがない限り雇用も終了するので辞職は時間の問題ではあるが、のんびりした豪州の会社でもいかに能力主義が定着しているか、また会社の日本のように建前と本音が存在する事がよくわかる。そして経済状況が厳しくなり企業間の競争が激化している一面も見て取れる。解雇される人が途方に暮れるのはもちろんの事、会社側も出来る限り穏便にと気を使い、また残された人への精神的な影響は大きいと思う。この頃は明日解雇を言い渡されるかもしれない漠然とした不安を抱えながら海外で働き続けるなら、いっそのこと自ら辞職をしようかと考えている。無能な外人労働者の私が今後どうなるのか、自分が解雇を言い渡される日の絶望を想像しながら日々仕事に出ている。

 

 

 

英語圏での短期留学について

近年は手頃な値段で行けるフィリピン留学などが人気で、期間も最短一週間から選べたりと語学留学の選択肢は広がっている。もちろんアメリカ、カナダ、イギリス、豪州などでも短期留学生を受け入れる語学学校も沢山ある。短期留学は個人でも申し込めるし、中学、高校、大学などでも語学研修のプログラムで集団で短期留学する場合もある。でも短期留学の効果って果たしてどのくらいあるのだろうか?私自身短大の頃に一週間程度の語学研修に参加した事があるのでその経験等を踏まえつつ考えてみたい。

 

私の結論から言うと一週間から2ヶ月程度の留学では語学力が飛躍的に伸びるとは思わない。元々の英語のレベルにもよると思うが、例えどんなに日本語禁止、英語オンリーの環境に身を置いたとしても、残念ながら数週間では初心者や中級者が急に英語を話せるようにはまずならない。英語を本気で勉強するなら日本で英語の参考書を勉強した方が費用対効果を考えれば遥かに賢い選択肢だ。だからといって短期留学が全く無意味かと言われればそんな事もない。短期留学は英語環境を体験しながら、異文化に触れるのには絶好の機会である。そしてそこでもっと英語に興味を持って、これから更に頑張って勉強しようというモチベーションに繋がっていく。それが短期留学で得られる一番の収穫ではないかと私は考える。

 

私がアメリカに語学留学に行った時には、地元のコミュニティカレッジで私が参加した短大の語学研修プログラム用の特別な授業を受けた。そのためクラスには同じ短大の日本人しかいなかった。ホームステイは英語環境だったが学校もアクティビティーの時間も友達とは終始日本語で会話していた。私は当時そのグループの中では英語が出来る方だったと思うが、研修中に英語力が伸びたとは殆ど感じなかった。でも楽しい旅行だったし、いつか海外に留学したいという目標が出来たのは確かなので無駄ではなかった。もしあの時にアメリカに行っていなかったらその後豪州に留学する事もなかったと思う。

 

豪州の州立の専門学校に通っている時に私がアメリカで参加したのと同じようなプログラムで日本から20人くらいの大学生らしき学生が短期語学留学していた。小さい学校だったので校内でよく彼らを見かけたけど、課題が面倒だとか言いながらずっと日本語で話していた。もちろん特別クラスの授業では他国からの留学生と一緒になる機会がないので授業以外は母国語だけで話すのは当然だったのかもしれない。でも私も自分の経験を思い出しながら、それではわざわざ高い費用をかけてまで豪州に来て英語を勉強している意味がないよなと思った。

 

個人で語学留学を手配した場合は一般的なクラスに入る事になるので様々な国籍の生徒がいて、もちろん授業以外でも英語で会話をする場面はあると思う。ただ短期だとやっと英語環境に慣れて来たかなと思う頃には留学が終了してしまうのだ。英語環境でこれから英語力が伸びていこうという時に帰国してしまうのはとても勿体無いと思う。そして語学学校のクラスメイトは自分と同じくらいの英語のレベルである事を忘れてはいけない。もし自分が初級や中級で殆ど英語が話せないのなら相手また同じなのである。出身国によっては間違っていてもガンガン英語を話すという人たちもいるけど、彼らと短期間一緒にいて会話をしたとして本当に英語が身につくようになるかは疑問だ。

 

短期留学を否定する気はないし、目的をきちんと持って参加するならとても良い経験になるのは確かだ。でも数週間語学留学に行って英語を話せるようになれるという過度の期待はしない方が良い。

日本人に英語で話しかけられる経験

先日とあるメルボルンにある日本人経営の日本食屋に一人で行った時、店員さんも全員日本人なのになぜか英語で接客された事があった。私が頼んだのはカツ丼。きちんと日本語の発音で言ったつもりだったが、一瞬妙な間が開いたあと日本人の男性従業員は唐突に英語で対応してきた。きっと私が日本人かどうかの判断がつかず悩んだのだと思う。こちらも慌てて英語で返してしまったためその後のやり取りは全て英語になった。しかも相手は私の英語を聞き取れていないか意味が通じていない様子。そこでいきなり日本語を使うのもと思い、そのまま最後まで自分が日本人だと察されないように振る舞い続けた。

またカフェなどで私が偶然日本人の隣に座っていても相手は全く気づく事もなくそのま日本語で会話を続ける。別に会話の内容は他人に聞かれてまずいとかはないかもしれないが、相手は完全に私が理解していないと思って話をしているのは確かだ。私は会話を聞く気は毛頭ないのの、至近距離ならどうしても耳に入って来てしまうので、盗み聞きしているようで居心地が悪く感じる。


唯一私が日本人が多い町ケアンズに行った時は殆どの人が私を日本人だと思い、お土産屋の店員さんも日本語で話しかけて来た。やはり日本人が多ければ必然的に日本人だと思われるらしい。ただし日本から来ている観光客ではないと直ぐにわかるらしく、どこで何をしている人かという事を高確率で聞かれた。ケアンズでは白人からも片言の日本語で接客されたりして、とても不思議な感覚だった。


相手が日本人でも英語で会話が始まった場合は、私の発音から日本人だとわかる事はまずないのでそのまま英語で話し続けるが、最後にもし日本人だとわかったら恥ずかしいとハラハラしながらやり取りをする。日本にある米軍基地内でも日本人の店員さんが頑張って私に英語で接客して困惑した経験が何回かある。一度、英語がわかる人と交代されたすらあって、私は最後まで絶対に日本人だと分からないように繕い急いでその場を後にした。

 


それ以外にも日本人の友達と普通の日本のホテルの朝食を食べていた時にウエイトレスの女性に突然英語で話しかけられた事もあった。その友人は英語がかなりできる帰国子女だが、私たちは純粋な日本人で黙って座っていただけなので驚いて思わず笑ってしまった。流石にそこでは私たちが日本人だと明かすと女性は平謝りだった。私たちは日本人だとは思わず他のアジアの国からに観光客だと思ったというような事を言っていた。


豪州でも日本でも日本人に英語で話しかけられる。そんなおかしい経験をあとどのくらいするのか分からないが、なぜ日本人に英語で話しかけられるのか理由を知りたいと強く思う。

 

 

豪州のビザについて - 客観的考察

私はよく豪州に滞在中の人などのブログを読んでいるが、その中で最近ちょっときになる事がある。それはワーホリ後などに豪州滞在の延長のためにビザ取り学校(週に1-2日のみの通学で後は課題提出で卒業できる)などに行く事を勧めるものだ。これまで何年もビザで苦労してきた私には本当にその選択肢が良いのかという疑問が残る。

 

一般的に日本人は観光で豪州に入国するのはETASという入国許可さえ取れば非常に簡単である。続いてビザの条件を満たしていればワーホリも学生ビザもほぼ問題なく取ることができる。ただそれ以外のビザになると急に取得が難しくなる。ビジネスビザや永住権などは超なければいけないハードルは年々高まっていて誰でも申請すれば通るものではない。私が懸念するのは、日本人が豪州のビザと入国をあまりに簡単に考えている傾向にある点である。

 

冒頭に挙げたビザ取り学校などは不正ではないけれど学生ビザの制度の網をかいくぐったようなものである。本来学生ビザは学業のために豪州での滞在許可を与えているのであって、週に1-2日学校に行ってあとは自由に働けるというのは本来の趣旨とは大きくかけ離れている。最近豪州側もこのビザ学校を規制する方向に転換してきているが、特にワーホリビザが切れる人たちに対して、今ならまだ間に合うとか格安で学校に通えるなどといった触れ込みで申し込みを促す宣伝をする留学斡旋業者は多い。もちろん彼らが違法行為をしている訳ではないのでこれらの広告には問題はないし偽りではない。

 

日本人の場合学生ビザは比較的簡単に降りるのでワーホリからビザ取り学校などを利用して学生ビザに切り替えて豪州に何年も滞在し続ける人も中にはいる。数ヶ月から一年程度学生ビザで滞在を延長してそのあとは帰国する(もしくは豪州以外に行く)という人には問題ないだろうが、もしその後に豪州でビジネスビザや永住権を考えているならこういったビザの経歴はマイナスに働く可能性が高い。学生ビザを何年も延長し続けるとNo further stayという条件がつく事があり、そうなると学生ビザの延長は出来なくなるばかりでなく、もし一旦国外に出て別のビザを申請するにしても審査がとても厳しくなるだろう。

 

例えば永住権の申請時には過去の豪州でのビザの履歴や学歴、職歴など全て書かなければいけない。学生ビザの延長であっても語学学校から専門学校や大学、さらに大学院などの流れであれば良いのだが、語学学校からツーリズムコース、ホスピタリティーコース、ビジネスイングリッシュコース、ビジネスコースなどcertificateやdiplomaのコースを渡り歩くような延長なら審査の際に不審に思われる可能性は十分ある。あまり知られていないかもしれないが、学生ビザにも数種類あって語学学校、専門学校、大学/大学院とそれぞれビザのサブクラスが違う。だから語学学校のサブクラスを何度も延長していたらすぐにわかる。確かに正当なビザで豪州に滞在していたのは事実だしそれだけをを理由に別のビザの申請が却下される事もないとは思うが、移民局への印象が悪くなるのは確かである。

 

またワーホリを終えてまた豪州に戻ってきたいから一旦日本に戻って再び観光で入国するというような計画を立てる人もいるようだが、それも危険である。確かに制度的には可能なのだが、ワーホリビザが切れたすぐ後に観光で入国をしようと思うと(不法滞在の意図を疑われて)入国拒否されるケースがあると聞く。もしそこで入国出来たとしても、万が一元いた職場などで内緒で働くなどしてしまえば一気に違法になりこれが見つかれば豪州の入国は何年間か出来なくなる。そう言うことをよく考えずに軽はずみに行動してしまうと後に大きなリスクを背負うことになるのだ。

 

学生ビザやワーホリからビジネスビザや永住権を考える人も多いだろう。もしくはどんな手段を使っても豪州に残りたいと奮闘する人もいるかもしれない。それは個人の選択なのでどんな考えであっても良いのだが、その時に簡単だからとかとりあえず延長出来るからと安易にビザ取り学校などに飛びつくのは要注意だと私は思う。もっとも私はビザの専門家ではないので詳しい事はわからないし間違った認識もあるかもしれないが、こういう状況に少し危機感を覚える。

 

 

 

 

時間外労働

日本ではブラック企業なんていう名称がある程従業員の待遇や長時間労働が問題になっている。過労死とかサービス残業なんていう言葉も良く聞くbuzzワードだろう。過労死に至ってはKaroshiとして海外メディアの記事などにも時々紹介されている。長時間労働という概念そのものが薄い豪州では信じられないことかもしれない。最近目にした日本のある記事によると公務員の場合残業が月100時間を超えるケースも多くあると書いてあった。日本では残業月80時間というのが過労死の危険性を高める一つの目安とされているので継続的にそれ以上の残業をし続ける事は危惧されるべき事態だと思う。

 

私の場合は時期によってバラつきが激しいが週に平均8時間から10時間くらいの時間外労働をしている。給料は年俸制のためもちろん賃金が発生しないサービス残業になる。ここ数週間は帰宅後夜に家で仕事をする事も多かったので、残業は週に13ー15時間くらいだったと思う。それを4倍するとおよそ50ー60時間。しかも継続的ではないので私の総時間外労働は意外と少ないというのが私の率直な感想であった。あと2倍くらい働いても安全圏内なのだと安心した。おそらく私の豪州人の上司も平均このくらいは働いていると思う。日本での月の残業平均時間でもっとも多いのが30ー40時間程度らしいので私の場合もごく平均的な労働時間である。私は仕事の要領が悪くて終わらないので、もし時間外労働をかって出なければすぐに成績不良で解雇になると思う。残業は全て自らの判断で行なっている。

 

働かない国豪州というのは既に過去の話になりつつあると思う。私の豪州人の知り合いでも半数くらいは残業代なしの時間外労働をしている人たちがいる。私は長時間労働が美徳だとは決死思わないし、家族がいる人たちはプライベートの時間を優先すべきだと考える。もちろん自身の健康を守る事も大事である。でも現実的に豪州でも人員削減などの影響もあってか長時間労働の風潮が高まっている。私はそもそも外人労働者だし自分が長時間労働をするのは何とも思わないが、豪州でも日本のように過労死が短な言葉にならないように願う。