日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

退職そして帰国に向けての話し合いが修羅場に!

私は数週間前に豪州での仕事を辞めて日本に帰国しようと決めて色々動き始めていた。ビザの申請は相変わらず動きがなく、今後豪州に住みたいかと言われると正直言って住み続ける意味がないという結論に至った。お金をかけてビザ申請をしてくれた会社には申し訳ないがもう永住権なんてどうでも良いとも思った。自分の中でそういう結論に至ったのには複数の理由があるが、仕事についていけないというのが大きな理由だった。自分の無能さがどんどん明らかになり周囲に醜態を晒していくのが我慢できず、もう辞めようと決めた。会社の経営も厳しいと聞いていたしいっそのこと人事整理で解雇にならないかとまで考えた。

 

私の意向を会社に正式に伝える前に上司の反応を探った。退職したいという言葉を用いずに私の業務パフォーマンスについて詰問をしたのだ。もう相手に失礼だとかそういう事は気にしなかった。仕事を辞めようと決めたらそれに向けて突き進むだけである。引っ越しの事、銀行や保険などの整理の手順についても調べた。日本の友人や家族にも連絡した。退職の手紙も用意して具体的な退職日と帰国日以外はあっさりと決まり準備リストができた。というのも日本に帰ろうと思ったのはこれが初めてではなくてある程度何をどうするかという手順は日頃から考えているからである。こちらには別に友人もいないし(私は変わっているぢ英語も出来ないから)、職場の一部の人以外は誰も私がいなくなっても気づかないだろうし、豪州を引き上げるのは意外と簡単な事である。

 

上司との話の後私は人事課も含めて正式に私の退職について話し合う時間を取ってもらった。人事マネージャーは私のビザ申請で奔走してくれた方で申し訳ないという気持ちもあった。人事が二人と上司と私の4人での話し合いになった。まず辞める理由を聞かれる。感情的にならないようにと自分なりにまとめていた簡潔な物を読み上げた。仕事上での色々な問題点をあげて私を雇うより新しい人を探した方がいいと思う、だから辞めますと公言した。すると私が不要な人材であるかどうかは会社が判断する事で私がそれを言うことは冒涜であると怒鳴られた。その点については確かに上司の言う事が正しいと思ったので謝ったが、もうどうでもよくなり私はとにかく辞めるからもういいでしょ?と言い返して退職の手紙を渡そうとそれを手にした。

 

ずっと無言のままの人事課二人とまだ怒りの鎮まらない上司はさらに畳み掛けるように私を追い込んでいった。恐怖で黙っている私を見て言った。その手紙を渡して私が辞めるのは会社としては引き止める事はない。でも私のしている事は間違っていると。私は上司がそのように言う理由も知っていたし上司も私がそれを理解している事も承知していたと思う。退職の話が出たのはこれが初めてではなかったしお互いの言い分が平行線のままで、でも私は今まで結局最後に説得されるという感じだった。今回は脅しでもなんでもない、もう絶対に押し切られないと心に決めていた。

 

会話に間が空くようになる。恐怖ではあったが決意は変わらない事を自分の中で確認して、もう後戻りは出来ないしとにかく豪州から消えて日本に帰国したいと繰り返して主張した。それ以上は何も言えなかった。そしてその後長い沈黙になった。するとこれまでただ私を見ていた人事の一人(上司の奥さんでもある)が口を開いた。

 

それを境に話が私の個人的な事情の事になっていく。上司がまだ怒りに満ちていたのは明らかだったが、口調は穏やかになっていった。上司が人事マネージャーに意見を促すとようやく重い口を開いた。二人とも上司の意見に賛成して、でも辞めるかどうかは法律的に労働者の自由だから私が決めるべきだとした。でも結局のところ上司は私の退職の手紙を受け取るきはなかった。私も最後の一押しが出来ずそのまま手紙を引っ込めた。事務的に退職届けを出して数分で終わるはずだった話し合いは一時間以上に及び私の残ったのはますます居づらくなった職場での仕事だけだった。

 

私はその日の夜その三人にメールを送った。話し合いが長引き時間を使わせてしまった事を謝りその他の事はゆっくり一人で考えたいと書いた。そしてこの際だからと私がこれまで上司には黙っていた職場での問題を明らかにした。実を言うとこれが私が仕事を辞める本当の理由であり、それは最後まで言わずにおこうと思っていた事だった。翌日の朝、上司が私のところに来て話がしたいと言われた。会話は終始穏やかで前日のような修羅場もなかった。そして私がメールで明かした職場での問題を初めて知った上司はその対策を取ると約束した。そしてビザの結果が出るまではとりあえずこのまま職場に残ると言う事でお互い合意した。ビザの結果は遅かれ早かれそのうち分かることなのでそれなら良いかと思った。

 

今回はただの退職騒動になってしまった。でもいつか辞めるにしろ辞めないにしろ決着が着く日が来る。そう信じて淡々と仕事をこなす。