日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

豪州での医療 私の体験 2

豪州には大きく分けてPublic(公立)とPrivate(私立)病院がある。Publicの病院はメディケア加入者なら基本的に無料で診療が受けられるがその分人も多く待ち時間が長かったりという難点もある。Privateの病院はメディケアではカバーされず、自分でPrivateの医療保険に入る事が前提になる。もちろん実費でも行けないことはないだろうが手術などとなればかなり高額になると思われる。そしてSpecialistと呼ばれる専門医は拠点の診療オフィスがあって、その他にPublicとPrivate両方の病院に登録されてたりする。特に都市部では多くの病院があり人それぞれどこが良いという意見は別れる。私の場合はメディケアには加入していないけど、ビザの規約でPrivateの医療保険には入っていたため融通の効きやすいPrivateの病院を選んだ。周囲の豪州人もほぼみんなPrivateが使えるならそれで良いと言っていた。ただ今までGP以外ではこの保険を一度も使った事がなかったので一体何がカバーされるのか知らず保険会社に確認したのは恥ずかしい経験だった。

 

 

Private保険には色々なプランがありexcessという実費で払う額が決まっている。excessがない場合もあるようだが聞いたところによると200ー300ドルくらいが多いらしい。GPに行くと通常はメディケアでカバーされるためこのPrivateの保険は使えないが私の保険ではGP診療で一度に35ドルまではカバーされる特殊なものだ。ちなみにGPの基本診療料は多分1番短い診察で40ドル弱だけど、この他にout of pocketと言われる差額を支払わなければいけない場合がほとんどである。私のGPは安い方で一度に70ドル程度だが場所によると120ー140ドルとか、日本語診療所に行くともっと高いらしい。通常留学やワーホリの人は海外旅行保険に加入しているので病院代はどこに行ってもほぼ100%カバーされるので高くても安くても関係ないが、私のように海外旅行保険にもメディケアにも入れない中途半端な場合は注意が必要である。私の保険では300ドルexcessが決められている。今回は病院に300ドル、医師に200ドルのexcessを支払った。決して少額ではないけれど、腫瘤を放っておく訳にはいかないのでこの程度の出費は納得している。

 


基本的には移民も多いので豪州の病院は英語が出来ない人にも比較的優しい。ただ出来ないと行っても相手の基本的な指示や基本的な医療用語はわからないと厳しいかもしれない。英語に自信のない場合は通訳をつける事も可能らしい。私の場合はそこまでは要らないかなと思ったので自力で対応したけどもし周囲に豪州人の知り合いや頼れる人がいなければかなり不安だっただろうと思う。なんでも相談できる人、知り合いの看護師や近しい人がいたからこそなんでも質問できて豪州での手術に踏み切れた部分は大きいと思う。医療水準は日本と同じくらいでも制度や考え方が大きく違って私はいちいちそういうことを不安に思うので周囲の人には感謝しきりである。

 


二度目のエコー検査のあと再びGPに行ってSpecialistと言われる専門医への紹介をお願いした時、どの専門医(私の場合はGynecologist
と言われる婦人科の医師)が良いかと聞かれた。どこの病院が良いかではなく誰が良いかと聞いてきたのだ。一応人から聞いていたドクターの名前はあったけど、いまいちわからないというと専門医の名前をいくつかリストアップしてくれた。私の場合追加情報が必要でその場ではreferral(紹介状)を書いてもらわなかったので家に帰ってネットで一人づつ調べた。保険会社のホームページでもその医師に対して私の加入しているPrivate保険が使えるかを確認する。専門医の紹介文で特にどんな症例に興味があり得意かなどを見てとある中東系出身の医師に決めた。このSpecialistの診察ではやるべき事はただ一つ、腫瘤の除去だったので手術の話はあっさり決まった。多忙そうだったけどネットでの評判の通り丁寧で親切な印象だった。遂に手術の日程が決められた。

 


私の手術はHysteroscopy D&Cというもので手術は日帰りだけど全身麻酔を要した。日本だと子宮鏡の手術にあたると思う。日本では通常1日から場合によっては2日の入院となっている事が多いようだが豪州では基本的に軽手術の場合は全身麻酔でも術後患者を家に帰すので日帰りのようだ。ただし予め帰宅時に迎えに来る人を登録してその人に患者を引き渡すという決まりがある。その後も24時間は誰かの監視下になくてはならないなど条件はある。通常は家族の誰かだが、家族なんていない私は一緒に住んでいる家の奥さんが迎えに来てくれる事になった。本当にこういう存在は有難いと心から思う。