日本とオーストラリアの狭間で

昭和生まれ奇想天外な私のこれまでの歩み。社会脱落者としてこれからどうする?40歳目前独女の独り言。

久しぶりに。

私は3月から4月にかけて3週間ほど日本に帰っていた。諸事情でいつもより長めの一時帰国で後半はずっと体調不良だったけどそれでもすっかり日本を満喫していた。老婆心かここ一年くらいは特に日本の良さがありがたく思えて日本に帰りたいといという気持ちがどんどん大きくなっている。取れるかどうかわからないビザを待っていないでさっさと帰ろう、何度もそう決心してきた。私の気持ちは確実に豪州から離れていっている。確かに今は生活の拠点はこちらにあるし豪州が嫌いになったのでもない。ただ日本に帰りたい思いが強まっていて豪州にいても楽しいとは思えなくなってきている。同じ苦労するなら自国の方が断然良い、そう考えている。

 

豪州に移住したい為に永住権を目指す人は多くいる。特にインドや中国系が多いけど日本人でも留学やワーホリ後に永住権を取りに行く人もいる。ただ年々厳しくなる永住権の壁に阻まれ断念せざる得ない人も多いのもまた事実。中には申請まですら辿り着かず涙をのむ人もいる。私も何年も前に留学を終えた時にはどうしてもそのまま豪州で暮らしたくて永住権が欲しいと思ったうちの一人だ。私は特殊な事情で断念せざる得なくなりその敗北と挫折感は今でも鮮明に覚えている。それから年月が流れ今は豪州にいるのに永住という事に興味すらなくなっている。

 

ネットなどで永住権に有利な大学のコースとか職種をまとめたものをよく目にする。何が何でも永住権を取るだけの為に興味のない勉強をしたり、やりたくもない仕事をする人がいる。そして永住権が取れたら全く別の仕事に就いたりするわけだ。例えば豪州では都会より田舎の方が永住権がずっと取りやすくなっている。人口の少ないところにに技術のある永住者を募りその地域を活性化させたいという政府側の意図だ。でも殆どの人が数年間田舎の地域に滞在して永住権が取れたら直ぐに都会に移り住んでいく。こういう話を聞く度に私は意味ないじゃんと思ってしまう。

 

私は誰の批判もする気はないけれど、こういう状況は残念だ。そしてそういう方法を教えて後押しするビザの斡旋業者が多数存在しているのは悲しいと思う。更に一部の移民の間では永住権が取れない人は負け組という風潮すらある。私は特にアジアからの移民の人に会うと初対面でも必ずと言っていいほどあなたは永住権を持っているかと聞かれる。私がないと答えると続いて理由を聞かれ時には鼻で笑われる事すらある。永住権がある事がそんなに偉いわけと聞き返したくなる。最近ではある人に永住権がないなら日本に早く帰国するべきだという忠告すら受けた。こういう会話にほとほとウンザリしてる。

 

永住権に興味がなくて日本に帰りたいならさっさと帰れと言われるのは正論だし、その気があれば明日にでも豪州での生活を終えて日本に帰国できる。実際私の荷物は半分ほど段ボールに梱包してあり一週間もあれば十分に準備して帰国出来る状態である。それでも今ビザの申請を放棄しないのは今私が豪州にいるたった一つの理由である仕事だ。会社はこれまでにかなりの労力と費用をかけて何とか私のビザの申請まで漕ぎ着けた。もちろん私も最終的にはビザの申請に同意した訳で流石に今自分の都合だけでやっぱり辞めますとは言い出せない。ビザが却下された時点でどのみち仕事を辞めて帰る訳だから、今わざわざ揉めて帰国する意味はないというのが理由だ。そしてもしも私がまだ永住権取得を目指したいという気持ちがあるとすればそれは仕事の為のみだ。

 

人の考え方はそれぞれでどれが正解かという事はない。私は永住権がどうしても欲しいと言う人たちの気持ちもわかるし、制度を上手く使って永住権を取得している人たちを一概に否定はしない。私だって留学直後ならきっとどんな方法でも考えたと思う。ただ歳を重ねてようやく自国の良さに気付き私にとって永住権がそこまで輝かしい物には見えなくなっていて、仕事以外で豪州に滞在し続ける理由が全く見当たらないだけである。私はやっぱり変わり者か?という疑念を常に抱きつつ今はただビザの申請結果が出て帰国するのを待っている日々を過ごしている。